南無根源!松下幸之助の宗教観

松下幸之助の宗教観
南無根源!松下幸之助の宗教観(一部抜粋)
― 谷口全平 -

「PHP運動の狙うところの一つは宗教の復興でありまして、仏教といわずキリスト教といわず、すべての宗教が正しい形において十分に受け入れられなければ、決して人々は幸福になれないのであります。そしてこれを基礎として物質文化が進み、科学と宗教が一体となって発展していくところに、真の繁栄平和が生まれてくると信じているのであります。」

「正しい宗教というものは、人間に奉仕するというか、お互いの日々の生活をより高く、よりゆたかなものにし、この世に真の繁栄、平和、幸福を生み出す一つの基盤となるものだということである。実際、そういうものでなければ、宗教の意義はないと言っても過言ではないであろう。その意味では、たとえば過去に幾多見られた宗教戦争のように、宗教のためにお互い人間が相争うといったことがあってはならない。宗教はやはり、あくまでも人間のためのものであり、宗教のために人間が犠牲になるというようなことは決して許されないと思う。そしてそのためには、それぞれの宗教は、その形はどうであれ、その根本においては恒久普遍の真理に立脚しなければならないし、しかもその時代時代にふさわしい説き方、教え方がなされなければならない。」

「繁栄の基」という「ことば」:
「限りない繁栄と平和と幸福とを、真理は、われわれ人間に与えています。人間が貧困や不安に悩むのは、人知にとらわれ、真理をゆがめているからであります。お互いに素直な心になって、真理に順応することに努め、身も心も豊かな住みよい社会をつくらねばなりません。」

「大部分は自然の力によって仕組まれ、裏づけられているではないかと思うのであります。すなわち人間がみずから考え、そして働く部分は、全体から見れば百分の一、二百分の一であって、大部分は自然によってすでに仕組まれ、裏づけられていると思うのであります。それを人間が少しずつ探し求めていくにすぎないのであります。」

「根源の社」:
「宇宙根源の力は、万物を存在せしめ、それらが生成発展する源泉となるものであります。
その力は、自然の理法として、私どもお互いの体内にも脈々として働き、一木一草のなかにまで、生き生きとみちあふれています。私どもは、この偉大な根源の力が宇宙に存在し、それが自然の理法を通じて、万物に生成発展の働きをしていることを会得し、これに深い感謝と祈念のまことをささげなければなりません。
その会得と感謝のために、ここに根源の社を設立し、素直な祈念のなかから、人間としての正しい自覚を持ち、それぞれのなすべき道を、力強く歩むことを誓いたいと思います。」

「人間は、たえず生成発展する宇宙に君臨し、宇宙にひそむ偉大なる力を開発し、万物に与えられたるそれぞれの本質を見出しながら、これを活かし活用することによって、物心一如の真の繁栄を生み出すことができる。」

「天地の恵みは、何の分け隔てもなく、われわれ人間に燦々(さんさん)として降り注いでおります。それはあまりに広大なために、無心のごとくに思われます。
この恵みの根源には、万物を生かし人間を生かそうとする宇宙の意志が大きく働いております。この大いなる宇宙の意志を感得し、これに深い喜びと感謝をもち、さらに深い祈念と順応の心をささげることが、信仰の本然の姿であります。
われわれがこの信仰に立ったとき、宇宙の意志がいきいきと働いて、ものを生み出す知恵才覚が涌いてまいります。そこから力強い労作が生まれ、繁栄への道がひらけてまいります。」

「霊魂が宇宙根源の力に帰納し一体化するなら、お墓は建てても先祖代々のもの一本でいいわけやな。それすらも必要ないな。それやったら宇宙根源の神様というか、根源の力というものを祭れば、同時にそれは自分の親の肉体、親の魂を通じてそこへ行っておるのやから、全部祭ることになるな。非常に経済的ですね。」